2019/10/15
第75回福岡県美術展覧会 会員の部受賞作品紹介
悲しき画集 | 福岡県美術協会賞
恩師の奥様より、亡夫が集めた画集を処分したいとの事。方々に打診して、結局は大学に受け入れていただいた。一冊の画集も、画家の作品や多くの人の叡智が集まってできている。しかしながら、最近は大きくて重い本は厄介者扱いされて、スマホやパソコンのせ浅薄な情報を重宝する時代になった。それが悲しい現実である。
天に唾吐く | 福岡県美術協会賞
Fasの新会員紹介に、「大海に蛙飛び込む水の音」と、意味不明な事を描いた。実際に耳で聞くことのできないこの水の音を、私はいつも心を研ぎ澄まして、想像力を掻き立てて聞こうとしている。絵描きになりたいと決めた遠い昔から、この音はずっと響いているのだ。この絵には、創作の初期衝動の音のようなものが、いっぱい詰まっているように自分では感じている。
司空圖詩 | 福岡県美術協会賞
令和元年の受賞、嬉しく思います。
楷・行の大字の二行草書の二行。
調和のとれた違和感のない作品にするのが難題でした。
自分では、バランスよく表現できたつもりですが、後からみるとまだまだ力不足。
今後も、初心にかえり、古典を追求してゆく所存です。
楷・行の大字の二行草書の二行。
調和のとれた違和感のない作品にするのが難題でした。
自分では、バランスよく表現できたつもりですが、後からみるとまだまだ力不足。
今後も、初心にかえり、古典を追求してゆく所存です。
花のいろ | 福岡県美術協会賞
かなは構成、墨の濃淡の変化、連綿による線の流れ、字の大小により作品の変化をもたらします。和歌二首を如何にしてまとめるか苦心しました。
かなの優美な舞を舞う様な雰囲気で線を、それでいて「有明の月」で墨をもり、躍動感ある厚味ある筆致でかきすすめ、それに終曲のしなやかさで六行目をまとめてみました。
かなの優美な舞を舞う様な雰囲気で線を、それでいて「有明の月」で墨をもり、躍動感ある厚味ある筆致でかきすすめ、それに終曲のしなやかさで六行目をまとめてみました。
雨しずく | 福岡県美術協会賞
2回目の県美術協会賞、大変ありがとうございました。
作品は、山鹿の古代遺跡で撮影。
蓮の葉に雨水が残っていて下にある花に雨水がしずくのような状態で落ちる瞬間を撮影したくて観光客にお願いして茎を少しゆすってもらい撮影。
この後、水道水で何度も撮影しましたが、繋がった状態で雨しずくの表現が出来ませんでした。
蓮の花は、咲いた初日が綺麗でこの作品のポイントになっています。
作品は、山鹿の古代遺跡で撮影。
蓮の葉に雨水が残っていて下にある花に雨水がしずくのような状態で落ちる瞬間を撮影したくて観光客にお願いして茎を少しゆすってもらい撮影。
この後、水道水で何度も撮影しましたが、繋がった状態で雨しずくの表現が出来ませんでした。
蓮の花は、咲いた初日が綺麗でこの作品のポイントになっています。
平和を明日へ。 | 福岡県美術協会賞
デザインは他部門と違って情報を的確に伝える機能を持っていなければならない。今回は「新しい時代へのメッセージ」と言うテーマにどう答えるか。身近の小さなテーマであっても表現とかみ合えば強力なパワーになると思うし、テーマを大げさに捉えると失速しそうな思いもあったが、人類の大切なバトンという形で平和をつなごうとする様子をロボットの手で表現した事でなんとか思いを伝える事ができたように思う。
word in the box | 青木寿賞
「言葉」への思いがテーマです。物事の始まりは言葉だと。
しかし…。キャンバスに行き先の分からない稚拙な線を引き柔らかな暖かいふくらみを描いたり消したりする内に、現れるもの「言葉にならなかった言葉」が、思いを内在させ表出する。「言葉以上の大きな言葉」です。小さな内的世界です。
しかし…。キャンバスに行き先の分からない稚拙な線を引き柔らかな暖かいふくらみを描いたり消したりする内に、現れるもの「言葉にならなかった言葉」が、思いを内在させ表出する。「言葉以上の大きな言葉」です。小さな内的世界です。
Procession | 冨永朝堂賞
馬が隊列を組んで歩いている様をユーモラスなフォルムと土の素材感を活かした表面処理で表現しました。膨らんだ馬体は内に空洞を感じさせ、高温焼成で硬くなり光を通す磁土の特性と相まって素朴でありながらも透明感のある作品に仕上がりました。今後も磁土の可能性を探りながら自身の感じる心を大切に「ものづくり」に向き合っていきたいと思っています。
環 | 安永良徳賞
中心をずらして重ねた二つの円に奥行きをつけるとどこで釣り合うのか。厚みを変えることでおきる重心の移動を確かめてみました。全ての部材を一本の丸太から取ると木目や色味が揃い、より良い作品になれると信じていますが、その調達が一番の悩み処です。今回は桐を使いました。またいい材に出会える様にと願っています。
紬織絵絣着物「海からのたより」 | 豊田勝秋賞
「船の旅」をするたびに美しい海に感動。波の動きを着物にとデザイン。経糸は墨染の濃淡針目に勢いよく伸びる波は藍と白で染め分け五段を経ずらしで緒巻。緯糸は絵絣で、ゆったりと大きな波の動き、さざ波に小っちゃい水玉波に夕日が映える姿などこの世のものとも思えない。胸をときめきながら織り上げることができました。
韻 | 山本文房堂賞
植物の自然の営みを観察すると、一つ一つ大切な意味が在る様に思われます。己の中でどんなに消化し、どの様に表現したら良いのかいつも考えるのです。
岩絵の具の質感で快い韻を描けたらと思います。この様な賞を賜り感謝申し上げます。
岩絵の具の質感で快い韻を描けたらと思います。この様な賞を賜り感謝申し上げます。
机 | 山本文房堂賞
題名の机は、20数年前から私の家にある。いつも他のモチーフの台になっているもので、今回これを中心に絵を組み立てようと出品表を出した。毎年のことだが時間が足りず残念な思いの中出品した。自然な目でものを見る、ただそれを普通に描く、その難しさをいつも知らされる。
塩釉線刻壷 | 山本文房堂賞
今まで平凡な球体の壺には、墨などで下書きをしてシンメトリーな図柄を全面に施していましたが、今回は、作品に下書きをせずフリーハンドで線を彫ってみました。また、3色の呉須を調合し塩窯で焼成しています。同じ太さの彫りですがアシンメトリーな文様で風や水の流れを感じて頂ければ幸いです。
沈鈞儒詩 | 山本文房堂賞
毎回意に満たぬところがありますが、それでもここ10年くらいは、人の目も気にならなくなって、やっと書くことに楽しさが感じられるようになりました。生きることと書くことは、僕の中では同値です。どうせ生きるならば、もっともっと我儘に書きたいと願っています。人間、生きている内が花なんですから。
輝きへ | 山本文房堂賞
賞を頂きまして誠に有難うございました。驚きと共にとても喜んでおります。「輝きへ」は、バレエの舞台に出る直前で緊張と不安で胸が高ぶる一瞬を切り撮ったものです。
人物を撮る時は常に味があり、心に写っている写真をと願っておりました。16㎜のレンズで自身がのけぞりピン合わせをした事を覚えております。
人物を撮る時は常に味があり、心に写っている写真をと願っておりました。16㎜のレンズで自身がのけぞりピン合わせをした事を覚えております。
Poster2019 | 山本文房堂賞
テーマ「新しい時代へのメッセージ」を前に、今や人類にとって避けて通れない地球温暖化やプラスチックゴミ問題。いずれも海洋生物に大きな影響を与えています。中でもプラゴミ問題は人々の使い捨てが大きな原因で世界の海を汚染しています。後世に美しい海を残したい。“No more plastic”の思いを作品に託しました。