2022/2/02
第76回福岡県美術展覧会 会員の部受賞作品紹介
薫風 | 美術協会賞
これは静かな深い木陰の道で見つけた葛です。絡みあった姿はその歳月を表していました。朝日を浴びて輝く水面は銀箔を貼り胡粉を塗ろう、五月の緑は美しく、オオルリは幸せの青い鳥だと描き進み、一番大変だったのは古木の樹皮が剥がれ掛かっているところ、苦心は仕上げに全体に白緑をうっすらと被せたところです。
Life box IchigoⅡ | 美術協会賞
この度は名誉ある賞をいただきましたこと大変光栄に思っております。果実から感じる儚さや力強さはとても美しく、制作意欲を掻き立てられます。取り巻く環境の中にある生という存在の姿を心象風景で表現しています。現代を生きる私の思う世界とはどういうものなのか、果実を通して模索しています。
春日南城を過ぐ | 美術協会賞
この度は思いもよらず美術協会賞を頂き恐縮しております。
ここ数年、泰・前漢に於ける馬王堆帛書及び木簡を根底に過渡期から移りゆく書風の中に漢隷になろうという整斉さを模索してきましたが、今回は寧ろ簡牘の内面にある質朴感なるものを表現したくて書いて見ましたが、紆余曲折、仲々前に進まない現況です。
ここ数年、泰・前漢に於ける馬王堆帛書及び木簡を根底に過渡期から移りゆく書風の中に漢隷になろうという整斉さを模索してきましたが、今回は寧ろ簡牘の内面にある質朴感なるものを表現したくて書いて見ましたが、紆余曲折、仲々前に進まない現況です。
われのみや | 美術協会賞
素性集・秋の歌三首は、全体構成は「起承転結」を秩序よく並べ、自然な景色をイメージしながら纏めました。漢字と仮名の調和、行の流れ、連綿の美しさ、潤渇、強靭な線を心掛け書き込みました。
正会員から三十年、栄えある賞を頂き大変光栄に存じます。今後は、表現豊かな書を楽しみながら創作していきたいと思います。
正会員から三十年、栄えある賞を頂き大変光栄に存じます。今後は、表現豊かな書を楽しみながら創作していきたいと思います。
慈愛 | 美術協会賞
この度は『福岡県美術協会賞』に選んでいただき有り難うございます。子供の誕生を待ちわびる夫婦と胎児のドラマで、喜び、ときめき、不安…。キラキラと複雑に揺らめく感情、命の輝きを光と空間で表現した作品です。皆さんの中の大切な何かに気付くきっかけになれたら幸いです。
Change our lives | 美術協会賞
この度は素晴らしい賞をいただき大変うれしく思います。私は「change」すべきものを、現代人の生き方働き方と捉え、かつて我が家に居た自由気ままな愛猫(木彫)に、人の心を代弁させました。木彫のマチエール、色や構図等の造形的な美しさにこだわり制作した作品から、本テーマを感じ取っていただけたら幸いです。
祥 | 美術協会 創立80周年 記念賞
長く人物を描いていなかったので、習作のつもりで娘を描いてみた。作品としての良し悪しよりも、記念のつもりで、モデルになるべく忠実に描いていたら、少し写実的になってしまって日本画的ではなくなったかもしれない。そんな絵に福岡県美術協会創立80周年記念賞という光栄な賞を頂戴し恐縮している。有難うございました。
彩壁 | 美術協会 創立80周年 記念賞
絵を描き始めて37年、その間大きなテーマとして「彩壁シリーズ」、「麦シリーズ」、抽象画を描いてきました。今回出品した絵は球や円管を描き画面に空間を感じる様に意識しました。色彩については大学時代、古美研旅行で見た奈良の古い寺院の雨に濡れた漆喰の壁からヒントを得ました。もっといい絵が描きたいなあー。
包 | 美術協会 創立80周年 記念賞
紡錘形の蕾を作っていたところで予定を変更し、幾重にもなるうちの一枚に焦点を合わせて完成させました。丸太を桂剥きすると木目がぼやけて退屈な印象を受けますが、稜を立てることでそれが解消されます。稜と稜の間を下部は凹面、上部は凸面に削り表情にさらなる変化を加えました。シンプルな形だけにひと工夫してみました。
黒釉掛分象嵌鉢 | 美術協会 創立80周年 記念賞
ロクロ挽き、釉薬の掛け分けと象嵌技法による表現です。
扇文の上に帯や紐に見立てた文様を施しました。
和の雰囲気と動きのある線文の調和を常に思いながら制作しています。
今回賞をいただき光栄に存じます。更に精進していきたいと思います。
扇文の上に帯や紐に見立てた文様を施しました。
和の雰囲気と動きのある線文の調和を常に思いながら制作しています。
今回賞をいただき光栄に存じます。更に精進していきたいと思います。
荘昶詩 | 美術協会 創立80周年 記念賞
各行が自然に揺れ、それに応じて文字が疎密や大小の変化を伴いながら複雑な表情を見せる。全体的にはすっきりと健康的な作品にしたい。そんな気持ちで仕上げましたが、改めて見直すと課題も多くあります。最近ある作家の書に魅了されその書風を追うことにしました。まだ伸びしろはあると信じて臨書に励むつもりでいます。
宵宮へ向う | 美術協会 創立80周年 記念賞
お祭りの写真はそのお祭りの起源を知ることが大切だと教わってます。ただ今回のお祭りは初めての出会いで、情報は無く情動のまま撮り終えて、やっと我に返りました。見てほしいポイントは、朝未だき頃、森閑とした森の奥から聞こえ始める笛の音、次いで足音を忍ばせ一気に進んで来る若衆。静と動の醍醐味が楽しめます。
CHANGE~この世界を | 美術協会 創立80周年 記念賞
この度は会員賞を頂戴し誠に有難うございます。テーマ『チェンジ』で頭に浮かんだのがエリッククラプトンのチェンジザ・ワールドという曲でした。これは「愛する人のためなら僕は太陽にだってなる」という愛の歌です。まさに今私たちに大切なのは孤立ではなく愛と勇気で一歩踏み出すチャレンジ精神ではないでしょうか。
コンポジション | 青木 寿賞
安穏無事な世界を願って、天使と女神の形を借りて表現してみました。構想が仲々定まらず、二転三転しながら、結局は今ある自分の力量でしか表現できないのだから、と開き直って何とか完成させました。水彩画の可能性、水彩の魅力をこれからも探求していきたいと思っております。この様な賞を頂きまして大変感謝申し上げます。
torso2021 | 冨永朝堂賞
黒御影石で、女性の身体の曲線的な美しさを単純化して表現しました。
石と向き合い、砥石で磨いては撫でて形を探る中で、その素材の強さを改めて体感しました。また、ミニマムな形だからこそ誤魔化せない厳しさ、日々の積み重ねの大切さを改めて学ぶことができました。多くの学びと共に、賞まで頂きありがとうございます。
石と向き合い、砥石で磨いては撫でて形を探る中で、その素材の強さを改めて体感しました。また、ミニマムな形だからこそ誤魔化せない厳しさ、日々の積み重ねの大切さを改めて学ぶことができました。多くの学びと共に、賞まで頂きありがとうございます。
scenery 2021 血の婚礼 | 安永良徳賞
モチーフは、この秋に手掛けた舞台美術の台本。ガルシア・ロルカの描いたスペインの血と情熱の物語を、自分なりの空間に封じ込めてみた。
荒野に女性達が立ち現れ、口々に夢のような呪いのような生と死、魂を賭けた愛の行く末を語る。そんな野外劇の再現に挑戦してみた。
荒野に女性達が立ち現れ、口々に夢のような呪いのような生と死、魂を賭けた愛の行く末を語る。そんな野外劇の再現に挑戦してみた。
獣魂‐ナモギ‐ | 豊福知徳賞
角と尻尾を生やした架空の生き物で、信仰や自然といった力を魂として宿した「魂獣」シリーズの一つです。本作は「なまはげ」を対象として制作しました。
怖そうな見た目ですが、人間臭く、どこか憎めない、親近感が湧くように表現してみました。そこを味わってもらえればと思います。
怖そうな見た目ですが、人間臭く、どこか憎めない、親近感が湧くように表現してみました。そこを味わってもらえればと思います。
木綿風通織 着物 | 豊田勝秋賞
木綿、他のどの素材にもない魅力と可能性を見い出して10年、繊細な木綿糸を植物で染め、糸を整え織機で織る。毎日見慣れた風景とか自然の中で感じる風、匂、温度を作品にすることが多いです。これは霞のかゝった春の日をイメージし緯糸に明るい色を織り込みました。何かを感じていただければ幸いです。ありがとうございました。
心の空2021・B | 山本文房堂賞
山は高くて大きいが、雲は山さえも包み込む。頭上を見上げると、雲は空に浮かんでいる。空は、さらに大きい。様々な形の雲、空の色もたえず変化して二度と同じ景色にはならない。「空は自然の、偉大なる芸術家なのかもしれない」などと思いながら、いつも犬と散歩をしている。
ノスタルジー | 山本文房堂賞
キャンバスに流したり、飛ばしたりした線や色、型を拾い集めながら、自分の求めている物に近づく。それは自然界の生き物達(草花、虫、魚等々)、私の絵の大半はそれに向って描いています。そういう物を自分のイメージとプラスして抽象的に表現する時が一番楽しいです。
黒彩彫文大鉢「悠」 | 山本文房堂賞
この度の受賞感謝申し上げます。
この作品は、地元小石原の陶土を使い1260度で焼成。鎬(作品を削りつける装飾技法)で仕上げました。
新型コロナウイルスの影響で生活を規制され、自由に動けない時代となりましたが、そんな中でものんびりと心静かに過ごし、自分の思うままに楽しむことをテーマに「悠」としました。
この作品は、地元小石原の陶土を使い1260度で焼成。鎬(作品を削りつける装飾技法)で仕上げました。
新型コロナウイルスの影響で生活を規制され、自由に動けない時代となりましたが、そんな中でものんびりと心静かに過ごし、自分の思うままに楽しむことをテーマに「悠」としました。
杜甫の詩 | 山本文房堂賞
ありがとうございました。専ら線質にこだわり、そこから響きわたる空間、情趣などを楽しみ書きこみました。最近篆書を学ぶことで線に力強さ、切れのある面白い線が加味出来たかも知れません。対話出来る「書」でありたい。先輩の「拙を用うるを能くして乃ち巧を得、猶至り難し」の言を大切にして書き続けたい日々です。
強者どもが夢のあと | 山本文房堂賞
このたびは、すばらしい賞をいただきありがとうございます。この写真は、雲海に浮かぶ幻想的な城を撮影したものです。自然現象である雲海のため、今までチャンスに恵まれず苦労しましたが、初めて目にしたすばらしい情景に感動し、無心でシャッターを押した中の1枚です。
HOME | 山本文房堂賞
「I′m home!」コロナ禍で、家で多くの時間を過ごした。家とはなんだろう。
HOUSE 雨露をしのぐ場だけではなく、HOME自分の居るべき心の拠り所となる場。
場は人、社会や時と共に変化する。何処に在ってもいい。長年溜めた作品の端紙でコラージュし家での時を表現した。さあ、家に帰ろう。「ただいま!」
HOUSE 雨露をしのぐ場だけではなく、HOME自分の居るべき心の拠り所となる場。
場は人、社会や時と共に変化する。何処に在ってもいい。長年溜めた作品の端紙でコラージュし家での時を表現した。さあ、家に帰ろう。「ただいま!」